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AI画像生成は、実務に使えるのか?②AdobeのAIってどうなん?【2023年7月検証】

現状AI、とりあえず弄っとこ!

エンジョイお仕事!デザイナーJです。

という訳で、前回ブログから引き続きまして、この第2発目レポは、早速実務への応用検証に向かって参ります。
駄文ながら何かしらのお役に立てれば幸いです。全てに感謝!

そんなこと言ってる間に、今日の常識は明日の非常識、今日の革命は明日の常識。数ヶ月後には「AI?なんで今さら?」ってな感じになってる可能性大ですが、とりあえず先のことは気にしないで今を生きたいと思います。
「Right here, Right now! あなたもA Iを使いこなして、迫り来る拡張バースの波に乗れ!」という感じで参りましょう!

画像AIの大本命?!AdobeのAI編

さて「皆様に有意義な情報をより分かりやすく」ということで、ここからはちょっと真面目に検証を進めて参ります。

前回、「仮スタンダードな画像生成AI」をいくつかチョイスして、満遍なく検証を行った結果、それぞれの画像生成AIは一長一短はあり、使い分けが必要と言える結果となりました。

各AI画像の比較検証なども今後お届けする予定ですが、まずは最終目標である「デザイン実務でイイ感じに使えるのか?」ということを明らかにして参ります。(個人的に、昨年度はフワフワとしたWEB3に夢見、振り切りすぎて痛〜い勉強しましたもので、今年は、まず最初に地に足着けたことからコツコツやっていこうと思います。苦笑)

結論から申し上げると、数ある画像生成AIの中で「デザイン実務活用段階に一番近い」と言った意味では、現状または近い将来的にも「AdobeのAI」に軍配が上がるのでは?と感じました。

ところで「AdobeのAI」と言えば、ややこしいですが「Adobe Illustrator」のファイル拡張子も「.ai」で、業界では略語としても良く使われますね。しかしここで言う「AdobeのAI」は、Adobeさんがリリースしている「人工知能(Artificial Intelligence:アーティフィシャル・インテリジェンス)」のことでございます。これは文脈読まないと間違えちゃいますね。

「AdobeのAI」と著作権

なぜ「AdobeのAI」が「デザイン実務活用段階」と言う意味で何が秀でていると感じたのか?
いくつかの理由がありますが、何よりも、「著作権的にクリア」なのは実務的にはかなり必須項目です。

AI画像生成は、様々な画像を取り込んで学習した成果として出力する訳ですが、Adobe Fireflyは、「パブリックドメインの画像」または「アドビ社が運営する画像素材集であるAdobe Stock内の画像」が学習元として使われているとのこと。

ピカチュウ、マリオ、ディズニーっぽい画像等ですと明らかに著作や肖像権的に問題があると認識可能ですが、例えば微妙な風景写真だとかイラストなんかは版権ものや肖像権があるのかは判断できないわけで、そういった点が明確化どうかは実務応用の分かれ道ともいえます。(この辺の「AI周りの著作問題に関して今後どうなるのか」についても気になるテーマですね。またの機会に!)

そういったことから、シリーズの一発目は「Adobe のAIはどうなん?」というテーマを掲げての検証をご報告させていただきます。

私の周辺の専門職の方の中でも、いち早く活用されているとの情報も届く昨今ですが、大元のAdobeさんの方でも、現在はベータ版(2023年6月現在)ながら、もちろんこれからも大きく開発も進めておられる印象で、予想以上に進化も早い可能性が高そうではありますが、ユーザである私共は、まずは自らで実務検証を行い、記事鮮度など気にせず皆様への共有を進めて参ります!

Photoshopベータ版、かなりヤバい?!

AdobeのAIといえば、前回記事でもチラリご紹介しましたが、2023年6月現在、Adobe Fireflyという名称でベータ版がリリースされています。

おや?「Photoshopで利用可能」という記載があります。なんとAIを??

これは、Adobeソフト1.0から共に生きてきた私共からすれば、大変に大きな衝撃です。
かつてWindowsさえも存在してなかった時代に現れた「Apple Macintosh登場と共に現れたアプリケーション群の登場」以来のセカンドインパクトとなる可能性があるのでは?!

来たかAI革命の波?!セカンドインパクト!

ここで少し本題外れて、これらのアプリケーションソフトウェアの歴史についても触れておきたいと思います。AdobeのIllustratorやPhotoshopはバージョン1.0から弄ってる身からすれば、いやもう「この商売道具のおかげで今まで生きてこれた」と言っても過言では無く、その歴史からも感ずるところがございますので、ちょっぴり脱線にお付き合いください(笑)。

Adobe Photoshop 1.0 Splash Screen (1990)-Image credit: version museum

「おぉこのスプラッシュ、懐エモ〜〜!!」思わず感嘆してしまいました。

上図のツール群を見てもわかる通り、基本UIは大きな変化も無くブラッシュアップを重ねて現在の普及に至ります。当時のPCソフトウェアは、Adobeの製品群以外にも多種あって、今の群雄割拠のAIの状況と似ています。当時のその後は、多くのソフトウェア群は淘汰され、そしていくつかは生き残り現在のスタンダードなアプリケーションとなりました。

そしてその数年後は、WEB時代到来、さらにスマホの時代となり、同じような歴史経過が起きましたね。

現在進化普及途中であるAIも過去の波と同じことが起こるのでしょう。当時の数年間の展開と同じように、そのうちすぐにスタンダードとなるAIのみが生き残り、次の時代の「当たり前」になるなんてことが容易に頭に浮かびます。だとしたら、今は乗るべき大きな波かどうかは不確実でも、とりあえず助走漕ぎだけでもやっとくと、その後楽しめるかもですね。
というか「Photoshop + AI」って、今すぐ実務ツールとして役立つ気配がしますねコレは!

Adobe Photoshop (Beta)を試す

さて、「Firefly」の方は、一旦置いときまして、今回は早速Photoshopベータ版で、AdobeのAIの実務検証をやってみましょう!

立ち上げますと、何やらレトロなスプラッシュスクリーンが表示されます。
おぉ!30年以上も世の中を便利に楽しませている上に、また今回もすごく立派に進化してますね!

Adobe Photoshop(Beta)Splash Screen (2023)

生成塗りつぶし(ジェネレーティブ塗りつぶし)で、写真をトリミング拡張する

さて早速、検証作業を試みます。縦トリミングの写真を両サイドに写真空間を広げてみます。
まずは、お馴染みの「切り抜きツール」でグバッとワイドを広げまして、

余白を選択したら、画像下にチョロチョロと表示されるコンテキストタスクバー(直近のバージョンから登場)で、「生成塗りつぶし(ジェネレーティブ塗りつぶし)」を行います。何か特に追加したい被写体が無い場合は、プロンプト(詳細は後述)入力欄は空白のまま「生成」を行います。

拡大しても何ら違和感なく画像を生成することができました。
最近バージョンのPhotoshopは、切り抜きツールに「塗り:コンテンツに応じた塗りつぶし」という設定項目がありますが、こういった写真画像はこんなに上手く生成してくれません。感動したかもです。皆様これは実務でも使えますよ!!!特にデザイナーとしては本当にありがたいです

写真の背景を拡張したい時は、お仕事でも良くありますね。しかも苦肉の策で、いろんなツールを駆使したり、結構テクって時間かかる割には、その価値は気付かれにくいですね(泣)

とにかく、写真のトリミング拡張は大成功です!使える使える!この辺りの機能は、ベータ版ではない正式版Photoshopの次の大型アップデートとかで、すぐにでも搭載されそうな程、素晴らしい機能です。

プロンプト入力で、生成塗りつぶし

さてお次は、オブジェクト選択ツールでお空を選択。選択範囲は、広めの方が上手く画像が生成されるとのことで、場合によっては、選択範囲の拡張や、他の選択ツールでざっくり選んでも良いかもです。そして、画像下のコンテキストタスクバーにプロンプト(通常言語による要素入力)を入力して画像生成を試みます。現在は、英語のみ対応していて、2〜8個のワードが良いとのことです。

う〜む、調子に乗って試してみたものの、縮小サムネ状態で見れば、まあアリにも見えますが、ちょっと大きく表示するとイラストチックな描画で、なんかPhotpshopのブラシで書いたような、ちょっとのっぺりとした感じのタッチになってしましまいます。フォトリアリスティックといった感じでは無いですが、お仕事に使う場合は、提案用のラフやカンプなら何とかイケそうですね。

さて、お次はメイン被写体の生成です。コンテキストタスクバーの「被写体を選択」ボタンを押すと、この写真では人物が選択されますので、プロンプトは「Spacesuit」とかを入れて生成してみました。

「おお?!イイ感じかも?」 と一瞬思いましたが、一番右のヤツは何?ふざけた格好でこっち見てますよね(笑)

他の生成画像も、よく見ると手がグニョグニョだったり、ヘンなパーツがくっついてたり、プロポーションが微妙だったります。人物は、現状ではなかなかハードルが高いんですね。顔がハッキリ映っていない角度だったり小さな表示でしたら、荒さが見えないので使えるかも?ですね。それにしても仕事で出すには、プロンプトを試すことを繰り返したり、書き出した画像をレタッチ修正したりと、「イッパツで楽ちん!」と言う訳にはいかない感じです。

今回のAI画像生成の検証まとめ

人物品質で言えば、早くから進化を続け、この半年くらいで驚くほど精度を上げてきたMidjourneyに軍配といった印象です。しかし、AdobeのAIは、前述の通り著作クリアであったり、今回試したように、Photoshopで画像拡張や部分生成など、他の必須な画像加工作業と組み合わせて同時にサクッと行えたりと、実務利用という観点からは「直近の本命」であることは間違い無さそうです!

いや〜しかし、まだ諸々実用に向けて検証してみたいところですね!(2023年7月)

(パート3へ続く)

この記事の著者

すえつぐ じつお

UI/UXデザイナー

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