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AI画像生成は、実務に使えるのか?⑤ Midjourney&PhotoshopでAI画像生成!【2023年8月検証】

AIで「キャッチーなフォトアート」の制作に挑戦!

エンジョイお仕事!デザイナーJです。

「AIの実務応用」といえば、昨今ますます進化スピードを増しており、その話題も専門的な業界に留まらない広がりを見せておりますね。
さて当記事シリーズは、そんなAIの中でも画像生成にスポットを当て、デザイナー自身が実際に検証してみて、どなた様にもわかりやすい記事で共有を試みようという「AI画像生成は、実務に使えるのか?」。
前回記事までは、幅広いデザイン実務への応用力のあるといった点で、現状では大本命の「Adobe Photoshop(Beta)のAI」であるということで(2023年8月初旬現在)、「AI画像生成で実務的な制作」の数種の作業テストを行いました。その結果、既に「デザイン実務作業」に応用できる画期的な進化と、逆に「人物描写の詳細描写」などまだ不得意な制作ジャンルがあるということが浮き彫りとなりました。

今回は、前回までの検証で得た知見を生かし、AI画像生成で「キャッチーなフォトアート」に挑戦する制作検証となります。
とりあえずはAI検証シリーズの一旦の幕引きへ向かうと言うことで、当シリーズ記事の集大成となるかどうか、文字通り「有終の美」を飾る美麗画像を目指したいと思います!それでは、いってみましょう!

Midjourneyでフォトリアリスティックな人物画像を生成

前述の通り、実務利用では画期的といえるPhotoshop(Beta)のAIですが、まだ進化途中段階だと感じたのは「イチからの被写体の描写」。特にキビしい印象が目立つのは「人物描写の詳細描写」。

そこで今回、ベースとなる人物画像は、元より画像生成AIの金字塔的存在であるMidjourneyを使用したいと思います。
以前の記事でも「ここ半年くらいで驚くほど精度が上がってきている」ということでチラリ触れておりましたが、やはりこの検証を行なっている現時点でも、プロンプト入力による被写体の本格的な描写においては、Midjourneyはビビる程の成果物を生成しますね。
しかも、Discord(グループチャット等を行うコミュニケーションツール)でプロンプト入力するという分かりやすいUI。ブラッシュアップやコツは結構しっかり考察が必要ですが、手順としては大して複雑ではございません。

やはりMidjourneyの人物クォリティが半端ない

さて、初回記事で生成した女性画像が、あまりにも「いいとこ突いたクォリティ」でしたので、過去に私が行なったDiscord上での生成結果にブラッシュアップを重ねていく感じで進めていきます。

とりあえず、この結果を見てください。語るのも不要な程ポイント突いてますよね!

ちなみに他の代表的な画像生成AIもいくつか試していますが、Midjourney以外でこの品質レベルを出すのは、かなり難しかったです。

ここで目指すところは「キャッチーなフォトアート」ということで、要するに「世にウケそうな印象深い大衆芸術写真」をAIで生み出そうと模索する過程を皆様と共有しようという試みです。

この生成画像を見てもらう通り、Midjourneyの底知れぬAIパワーで、既に「クールなストリートスナップ感」「被写体の持つ訴求力」「ジャパンカルチャー」なんてことさえ感じさせるリアリティある写真風画像が描かれておりますが、そこに敢えて思うままアレンジを施し、さらにイメージを形作っていきたい。このように考えているわけでございます。

しかし「AIでの制作」って敢えて言うならば、やってること「イチ作品のアートディレクター」ですよね。これよく聞きますが本当ですね。今回体感しました。自分で指示はするけど実際に描いているのは全部AIですからね!スゴい時代です。

まるでAIアイドルユニットオーディション!

さて、何となく「ペア」が絵になりそうに感じますので、「上記画像から選択したモデルさん」の相方さんを、同じくMidjourneyにて生成したいと思います。

う〜む!もはやモデルというよりタレントクォリティの被写体訴求力。どのショットも素晴らしく、リアリティもあって迷いますね。皆様ならどれを選ばれるでしょうか?!

って、だんだんアートディレクターというよりも、アイドルユニットのプロデューサーみたいな気分になりますね。そもそもAI生成の実務検証が目的で、ディレクション観点は、あくまで「好み」よりも「ペルソナにハマるか?」でした(笑)。

ここからPhotoshopでAI画像生成!さて人物生成は…

ちなみに、Photoshop(Beta)での生成検証も参考に共有させていただきます。うーむ、やはり「人物のアップ」は厳しいか…。

Photoshop AI生成 の本領発揮!サクッと「写真の拡張」

やはりPhotoshopのAIには、モデル生成力ではなく、ここからの実務作業でしっかり本領発揮してもらいます。Midjourneyで得た人物画像をベースに、Photoshop(Beta)で加工生成を進め、最終イメージまで構成していきます。

まずは、お得意のクイックな画像拡張&AI生成塗りつぶし。これは間違いないですね。描画結果は「外す」こともありますが、充分に実務レベルの成功率です。イイ感じですね。

画像の合成作業も進化

次に、Midjourneyで描いた別のショットの人物画像もPhotoshop(Beta)に持ってきまして合成。

「被写体の選択」は非常に便利です。以前の記事でも紹介しましたが、画像にもよりますが、そこそこキビしめの「切り抜き作業」を、ワンクリックである程度行なってくれるので省力化が可能です。便利なイイ時代ですね!

しかし技術検証的には問題ないんですが、2人のモデル画像のライティング方向が全く違います。このモデルさん、独特のクールな雰囲気が芸術写真を目指す上(?)では非常に捨てがたいのですが、今回は「Midjourneyプロンプトで光源入力から〜」といった描き直す作業リスクがあるかと思うと、スケジュール優先しまして、やむなしで降板ですね…。いや最初から分かってたんですが…これで諦めがつきました(泣)

しかしながら、そのうち直ぐに、こんなライティング等はPhotoshopでサクッとAI補正してくれるアップデートが来るような気もして期待してしまいます。なんだかんだ言ってデザイナーにとっては、Photoshopでの作業の方が具体的直感的に画像操作できますからね。

AIアイドルデュオ爆誕の予感!

ペアモデル写真の変更ということで、脳内ディレクターがレコメンドする写真を合成していきます。

Photoshop(Beta)上で、コピペして大きさを合わせる作業。
体を書き足す必要がありますので、次は「AI生成塗りつぶし」の出番です。

おや?このペア、何だかミラクルが起きる予感がします!

前回検証で成功した「被写体の部分生成」だが…

ここで問題発生。「AI生成塗りつぶし」ですが、服装を描くべく、選択範囲を矩形(四角)選択ツールや、大きめ、小さめと、試してみましたが、なかなか思うように描いてくれません。

あれ〜?なんかアマゾネスみたいなワイルドファッションばっかりで、モデルとミスマッチ(泣)外国の方なら似合うかも?

「Adobe FireflyのAIの学習には、著作権がクリアな画像、数億を超えるAdobe Stockライブラリのコンテンツを利用することで、著作権、IP(知的財産)トラブルをできるだけ解決しています。」とのことで、そこはかなり実務利用を考慮すると画期的なレベルで素晴らしいのですが、反面、学習元の画像は、何となくの印象ですが欧米もしくはグローバル感覚の写真が多そうで、特に特定の国のファッション感覚の表現とかも、Midjourneyの精度と比較すると苦手な感じがします。

Photoshop AI生成は、やはり「画像の延長」がイイ感じ!

こうなれば、Photoshopで服の全部をガラッと描こうとせずに、Midjourneyで描かれたバストアップあたりまでの画像を残し、それを延長する感じで選択範囲を作成し、生成塗りつぶしを行います。

あれ?コレでいいかな!欲を言えば、もう少しオシャレ感欲しかったけど及第点でしょう。

当シリーズ記事での繰り返しの検証でも明確になりましたが、Photoshop(Beta)のAI画像生成は、イチからプロンプトで描画していくというよりも、描くべき対象の部分的な画像がなるべく元画像にあって、そこを延長して描く方が、再現力、精度がグンと上がる感じがします。よって実務で利用する場合も、「画像の延長」を前提とした描画活用が、現在の正しい利用法かもですね。

これは便利!部分的な「描き足し」や「修正」にも活用できる!

前述の通り、Photoshop(Beta)のAI画像生成は「画像の延長」は得意ですから、ちょっとした画像修正も高精度で自動描画を施してくれます。

例えば今回では、Midjourneyで見切られていた頭頂部の書き足しや、不自然な描画箇所、切り抜き輪郭の書き直しなども、選択してからの「生成塗りつぶし」のワンクリックで、イイ感じに自動描画してくれます。こういう使い方も実務でかなり使えそうですよ〜皆様!

プロンプトで着せ替えを試す!

プロンプト入力で、服装をガラッとチェンジできるのかも試してみました。

選択範囲を作成してプロンプト入力してからの生成。

文言を変えたり、選択範囲を調整したりして、数回の書き直しを行いましたが、やはり、これは「画像の延長」と比較すると、実務応用への確実性、成功率は「ある程度」と言ったところですね。なるべく元画像を残す感じで描画する方が、やはり精度が上がります。

「キャッチーなAIフォトアート」の完成!

どうでしょうか下記の完成画像。なかなかじゃないですか? 「MidjourneyのAIさん、Photoshop(Beta)のAIさん、お疲れっした!」(脳内ロケハン打ち上げ)

ということで5記事に渡り、「AI画像生成は、実務に使えるのか?」というテーマで、具体的な作業検証を行い、わかりやすい記事で共有させて頂こうという本シリーズも、これにて一旦のお開きということで、いかがでしたでしょうか?わずかでも皆様のお役に立てていれば幸いです。

今後のデザイン記事は、私共の本来の専門であるUI/UX関連デザイン記事ということで、AIを超える面白いネタがないか只今模索中でございます。

では最後までお読みいただき、感謝申し上げます。愛を込めて!!!(2023年8月初旬現在)

この記事の著者

すえつぐ じつお

UI/UXデザイナー

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